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■K―20 怪人二十面相・伝
監督:佐藤嗣麻子
出演:金城武松たか子仲村トオル、他。

 第二次世界大戦が起こらなかったもうひとつの日本。時代は変わることなく流れ、徹底的な華族制度に支配された格差社会を築き上げていた。そんな中、上流階級の所有する高価な美術品や宝石だけを狙う“怪人二十面相”と呼ばれる怪盗が世間を賑わせていた。
一方下層階級にあるサーカスで曲芸師として働く遠藤平吉は、貧しさに苦しみながらも平和に過ごす日々を送る。そんなある日、平吉は器用な身のこなしを買われスクープ写真のカメラマンとしての仕事をを依頼される。しかしそれは怪人二十面相がしかけた罠だった…。


誰もが知る江戸川乱歩の名作シリーズを基盤にしたアナザーワールドの話。明智小五郎がヒール役でしかも男爵位という思いきった設定が「江戸川乱歩怪人二十面相」という看板を感じさせなくて良かったのかもしれない。そもそも怪人二十面相・伝の原作は江戸川乱歩ではなく別にあるらしいけどそっちは未読*1
オチにかけてが失速気味に感じたものの、アクションも舞台となるレトロな街並みも話のテンポもとてもレベルが高くて見応えがあって邦画の娯楽映画としては久しぶりの良作なのではないか。
ルパン三世宮崎駿を好む人ならきっと楽しめると思う。
個人的に松たか子演じる財閥のお嬢様「葉子」がとても可愛らしかった。
品行方正で容姿端麗、聰明かつ好奇心旺盛で少しおてんばなお姫様…とまさにアドベンチャーというジャンルにおいて王道中の王道*2ヒロインなんだけどそれが凄くはまっていた。感嘆詞が「まぁ!」だなんて…!可愛いぜ畜生。そして松たか子に凄く似合う。
でも葉子より心を奪ったのは、金城武の二十面相でも仲村トオル明智小五郎でもなく本郷奏多君演じる「小林少年」だった。
あそこのあれがとかココが!とかじゃなく出てきた瞬間からやられた。なんじゃあの可愛いらしさ!萌えとはこういう時につかうのだなぁとしみじみと思う。ポスト神木隆之助君な役者さんな気がする。

*1:

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)

怪人二十面相・伝 (小学館文庫)

*2:むしろこれは映画全体にも言えると思う。